ブックレビュー『【新形式対応】TOEIC(R)テスト 990点 新・全方位 文法&語彙』


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【新形式対応】TOEIC(R)テスト 990点 新・全方位 文法&語彙

本書で使われている問題の質は高い (TOEIC L&R テストに即した問題形式、語彙が使われている) 。一方、まえがきで著者はこう書いている。2016年からの新形式テストへの対応にあたり「単に形式を合わせただけでなく、内容 (問題) も全面的に刷新しています」と。しかし残念ながら本書は、まさに「単に形式を合わせた」だけの問題の寄せ集めと感じる。例えば、新形式のPart 5では問題文が短くなるといった傾向の変化が確認されるが、このような公式発表にはないトレンドを、本書がフォローしているようには見えない。Part 6 も本試験とくらべると総じて文章量が多く、同じことが言える。

解答・解説については、本書の対象読者に対して丁寧で、かつ冗長すぎない。Part 6の解説で本文中の場所を示すとき (例「3〜4行目で…と述べている」) に、オリジナルの問題文をベースにしているのは悪くないが、解説と同じ見開きに再掲される問題文とは合っていないのはわかりにくく、殘念。

ハイレベルの学習者が、難しめのTOEIC穴埋めの問題集として使うのは適切だろう。ただし署名やオビ、まえがきにある「新形式対応」「あらゆるパターンを解きまくる」「対策に死角なし」「満点を取る」「真の英語力」という言葉は空疎に聞こえる。以前聞いた話だが、この著者自身が近年は満点をとってはおらず、800点台〜900点台のスコアの実力らしい。その著者に「テスト対策をしていなくても、本当に実力のある人の得点は上がっているのです」と言われても説得力に欠ける (ご自身の体験から出た言葉だとすれば、筆者本人には実力がないと言っている?)。著者はPart 5と6が割と得意らしいので、リスニング (Part 1-4) とリーディング (Part 7) の2冊よりは、本書がマシと言えるかもしれない。

【新形式対応】TOEIC(R)テスト 990点 新・全方位 文法&語彙


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